My dream journal

①睡眠中に、あたかも現実の経験であるかのように感じる一連の観念や心像。視覚像として現れることが多いが、聴覚・味覚・触覚・運動感覚を伴うこともある。②将来実現させたいと思っている事柄。③現実からはなれた空想や楽しい考え。④心の迷い。⑤はかないこと。たよりにならないこと。(デジタル大辞泉)

2018/12/17 陶器の仮面

 20代の男女が向き合ってテーブルについている。女の方がはしゃいだ話し方で「ねえ見てあの人…」などと対面に座る男に話している。顔の上半分を白い仮面で隠した男が歩いている。それを女が面白がってチラチラ見ては、口元を隠すように笑って男に話す。人が不快になる話し方をする失礼な女だと思った。

 仮面の男が知らぬ間にある部屋に入った。男女がいるテーブルから左斜めうしろの方角にある、白い壁だけで作られた扉のない空間。女はまだ何か醜い笑顔で話している。「ねえあの人!こっち見てる!ほら!」仮面は顔の全面を覆うオレンジ色に変化していた。黒いだけの少し横に長い目で男女を横目に見るように、そしてまともに睨みつけるように、ゆっくりと仮面の男は首を動かす。鏡台の前に座っている。「見ていろ」とでも言うようにしかし無言で、その男はゆっくりと鏡台の上の首に両手を添える。白い彫刻模型のような首が不気味に色や形をゆらゆらと変えた。

 魂の抜けたような顔の女が、さきほどまで醜く人を笑っていたあの女の首が、左右に大きく揺れる。右に大きく揺れて、ああ首が外れると思うとはまり込むように白い陶器のような仮面の顔に。左に大きく振れて、ああ首の靭帯が伸びて元に戻らないと思うと、苦しむように震えて、くすんだ橙色の仮面の顔に。それを何度も何度も繰り返す。メトロノームのように、振り切れる度にがこっがこっと音を立てて。

 

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 熱を出した時に必ず見る夢に似た、抽象的な空間の中での夢。色も温度も空も天井もない、白かったりグレーだったりする中で、見知らぬ人々しか現れず、また自分自身も現れない、何か映像作品を見ているような気もちになる夢。

 仮面のオレンジ色は道路標示のそれと同じ色。鈍い黄色味の強い濁ったオレンジ。

2018/12/15 鉛色の事務所

 家の寝室(ダブルベッドが並べて2つある部屋)でKとK’と3人で川の字になっていた。私はK’の手を取ってじゃれたり顔を近づけたりしている。足元にあるテレビを観ていて、薄毛について詳しくなった。

 私はどこかの事務所にいる。S店長が常連のWに話しかけられているところを見た。その後S店長が私のところに来て「キャッシャーとして入れることになるかもしれません。」と早口で言い訳のように言った。私は嫌だと思った、なぜならWさんは薄気味悪いし私達店員の女の子に気持ちが悪いことを言うと聞いていたから。私はS店長をきつく睨んで返事をしなかった。

 事務所の薄い頼りない鉛色の扉を開くと、Wさんがオフィスでデスクに座ってそわそわしている。それをオフィスの上座にいる誰だか知らないおじさんが感情の読めない顔で見ている。

 それらを横目に通り抜けて外に出て、道路に面した階段を足を滑らせて落ちそうになった。態勢を立て直してLINEを見るとKから「あ、」「車、」「迎えに行こうか」と来ていた。女子高生と母親の親子が階段の下にいて、娘がこちらを見て「あ」という顔をした。お姉さんと間違えたらしい。私は特にそれに反応せず気付かなかったふりをして横を通った。

 

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 朝方見た夢。覚醒し始めの頃はもっと詳細に覚えていたんだけど、寝ぼけていたら少しずつ記憶が抜け落ちた。思い出せるまで布団を出なかった。KとK’は別の人物。イニシャルが被っているので分けた。

 私のアルバイト先にあんな土木建築事務所みたいな場所はないし、キャッシャーなんていうポジションもない。ただWさんを気持ちが悪いと思っているのはほんと(笑)

2018/12/09 揺らぐルーツ

 母に何か性格に関する否定を言われた。いつものあの救いを残さない言い方で。私は狼狽えて、苛立った。3つほど言われた。浅い眠りで、その時二の腕や鎖骨をかきむしって、この夢から覚めてもその跡があった。

 幼い頃から家ぐるみで親しいG家。私たちの家に代わりに住み始めていた。私たち一家はそこに客として訪れている。私の祖父母はまだそこに暮らしている。ひどく悲しかった。見慣れた家に見知らぬ家具が置かれ、私の部屋はG家長女の部屋になっていた。階段を上り、入ろうとすると彼女に「待って」というように明るく恥ずかしそうに止められた。見せてはいけない悲しい苦しい気持ちが痛かった。

 

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 昨日の夕食の席でG家の話をしたからだと思う。私の見る夢は妙にリアルなので、家に見知らぬ物が溢れる様子を見てしまった。恐ろしかった。

2018/12/02 一面の白い花

 泊まるところがないのか、終電を逃したのか、私はKと見覚えのない部屋にいる。雰囲気から察するに女の子の部屋。テレビがついている。画面の右上の時刻表示が00:05で、私はKに「帰らなくちゃ。ママに叱られる。」と言う。部屋も外も暗くてテレビだけが明るいあの感じ。

 玄関から出ようと靴を履いていると、扉があちら側から開いた。部屋も外も陽の光で明るい。この部屋に住んでいる女の子らしかった。1つか2つくらい下に見えた。Kにそっけなく挨拶し、「ここは色んな人が都合よく使うんです」みたいなことを言った。そのそっけなさはKと親しいからこそ出るようなそれだった。

 木の枝が足の幅間隔で並ぶ上を歩いた。熱帯のような林。誰かが私を振り向いて「足がはまりそう」と嫌そうな顔をしていた。

 白い花が一面に落ちている芝生の上を歩いて、その先にある家の窓のところに人がたくさんいる。まるでラジオの観覧のようなかんじ。何か音楽が流れていて、それを聴いて私は謎が解けた、誰が誰を殺したのか分かったと思った。クイズを解くような朗らかさで。

 Kとどこかで横になっていた。私はKを見下ろして「あいしてる、だいすき」と元気よく言った。Kは照れた。

 

 

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 今朝起きて、思い出したいという意思の元、必死でたぐり寄せるようにして思い返した夢。Kの表情は全部現実に見たことがあるんだろうな。夢の中では気持ちが伝わった感覚がした。

2018/11/26 光

 自分の部屋で眠っている。左に光のような人のような何か分からないものが、裂けるような音を伴って、落ちてくるように飛び降りてきたように現れた。怖かった。

 心霊現象だ!と慄いて、逃れようとした。隣の部屋で寝ているはずの母を「たすけて、ママ」と繰り返し呼んだ。手元にあるスイッチで部屋の明かりを付けようとするも、作動の電子音はするのに明るくならない。上体をねじってベッドから起き上がりたいのに何度も何度も腰から下が引き戻される。

 暗い部屋の中で壁のスイッチを触ろうと、家具や壁を腕を伸ばして必死に触る。

 

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 昼に眠った時の夢か夜にまた寝た時の夢かが分からない。眠る自分を見た気がするので、きっと夢が何重にか重なっている。夢の中で夢を見ていたのかもしれない。

 十二分に不穏な夢だが、いたってご機嫌で、穏やかな気持ちでいる。この夢を見たことを起きた時には思い出せなかったが、夢に関する小説の一節を読んで、今朝夢を見たことを思い出した。

2018/11/20 耳の骨

 小さい料理屋さんのようなところで、一人で赤いギンガムチェックのクロスのかかった席にいる。厨房の入り口の目の前。私はほろ酔い。

 暖かい柔らかい木の味がする赤ワインを自分で注いで飲んでいる。何か軽いチキンや魚をつまみながら。

 厨房の方で「これはバイトの子にあげる」「わーい」など仲よさそうに話す声が聞こえて、良い店だと私は思っている。斜め左に見える大きな窓から空の色を確認して、まだ帰りそびれる時間ではないと安心するのを何度か繰り返す。

 場面は変わって、感覚だけを感じた。Kの耳を噛む感じ。歯にさわる柔らかい骨の感じ。Kが困って笑うと私の骨にもその波が伝わる感じ。何かを噛みながら笑う時の口の心地よい隙間の感じ。

 

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起きて、ごはんを食べて、つめたい空気の部屋の布団にまたもぐって眠って見た夢。幸福感があって終始なにかあたかかったり柔らかかったりするイメージがあった。

 身体がまだきちんとKの柔らかさやにおいを記憶していると思った。それが良いか悪いかは答えがでない。

2018/11/16 拒絶

 Nとカフェかどこかで向かい合って和やかに話した。

 私はMの父親がオーナーの飲食店で働いていた。店を見にきた彼に私は挨拶しに行った。「君はなかなか賢くてうちの息子とも仲良くしてくれているようだね」のように、言葉に嫌味が染み込んでずっと薄ら笑いの人だった。私は初めからずっと諦めた感情を抱いて話していた。彼は私の才気や知性を褒めてくれてもお前の本質や出自を思い出せばそんなものはすべて無に帰すのだと、決してその核心を口に出すことなく伝えてきた。

 私は暗に息子から離れろと伝えられているのに、むしろ彼のような人間に褒められたことを嬉しくさえ思いつつ、悲しく寂しく途方にくれる気持ちになったところで目が覚めた。

 

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 現実に限りなく近いリアルな夢だった。Mといると気持ちが華やぐことやそれとは反対に窒息しそうになるようなことや、そういうことの全部の理由がわかった気がして、目覚めた時 妙に納得した気持ちだった。

 布団から抜けないまま書いた携帯のメモは解読不能で、特にNの部分は記憶からこぼれ落ちてしまった。彼女は元気にしているのかな。