My dream journal

①睡眠中に、あたかも現実の経験であるかのように感じる一連の観念や心像。視覚像として現れることが多いが、聴覚・味覚・触覚・運動感覚を伴うこともある。②将来実現させたいと思っている事柄。③現実からはなれた空想や楽しい考え。④心の迷い。⑤はかないこと。たよりにならないこと。(デジタル大辞泉)

2019/04/29 逃亡

 1人の背中が階段の前にある防犯ゲートの横をすり抜けて7段ほどを駆け上っていく。もう1人のNも短い警報音を鳴らせて身体を少し斜めにしている。後ろに続いていた私は「えっ?(通って)いいの?」とNに聞く。振り返ったNは「うんうん!大丈夫!ほら誰もこないし。」と軽々と階段を上っていった。おそるおそる防犯ゲートの隙間に身体を差し込み、3段ほど上ったところで上から女の警備員が2人降りてきた。「こちらの警備のものです。ここは立ち入り禁止ですよ?身分証明書はお持ちですか?」と。私は「え?ああ、そこって本屋さんじゃないんですか?」とあたかも間違えただけというように言い捨てて、身を翻しはやる脚を抑えて階段を降り、早歩きでその場から離れようとする。人混みを切るように早足で歩きながら振り返ると、困惑にも戒めにも見える表情の女警備員が「あなたを追跡します。逃げられませんよ!」と言いながら後ろをつけている。

 なんとか逃げ切り、皆が乗っているバスに平然とした顔で乗る。後ろの座席の方まで行き、まだ痛い胸を飲み込むように隠して席に座る。このバスは順々にショッピングセンターやさきほどの場所を回るらしい。私は友だちに「私ちょっと気分が悪いの。次のショッピングセンターで降りるね。帰りの集合って何時かな?ありがとう、その時間にまたここで乗るね。」と伝えた。えー大丈夫ー?と楽しそうな雰囲気を引きずったまま友だちらは私を引きとめない。防犯ゲートをくぐり抜けようとした場所にバスの中でも近寄りたくなかった。あの女の人達は私を捜しているだろう、でもショッピングセンターで20分逃げ切って、地元に帰れればそれでもうバレない。我ながら小賢しいと思った。

 本屋の中を車いすに乗ってぐるぐるぐるぐる回る。